【行政書士試験】科目別勉強法 ~行政法②(マイナー法)~

(この記事は2020年3月1日に更新されました)

こんにちは。
ショシ太郎です。

前回は行政法のメインである行政手続法、行政不服審査法、行政訴訟法の勉強法について書きましたが、今回は残りのマイナー分野について見ていきます。

国家賠償法

いわゆる国賠法です。
国賠法は条文が第六条までしかなく、覚える量で言うと判例が圧倒的ですが、全ての条文が頻出なので全部覚えましょう。(暗唱するレベルまで覚える必要はありません。)

概要は、第一条を読めば分かります。

国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。―国家賠償法第一条一項

前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。同法第一条二項

この条文は国賠法の中でもよく問題にされるところなのでしっかり覚えていきましょう。
特に、青字の部分は条文問題で狙われやすいです。

・公務員が直接損害を賠償する
・公務員に過失があれば国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
みたいな偽条文を選択肢の中に混ぜてきます。

先ほど、国賠法は判例の量が多いと書きましたが、この一条に関連する判例も膨大にあります。
例えば、「公権力の行使」って条文だけでは意味が分からないですよね。
これは判例によって定義付けされています。
では、具体的にどんな行為が公権力の行使にあたるのか。
これも判例によって個別に判断されます。

試験では、こんな問題が出題されています。

問 「公権力の行使」に関する以下の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1 ~~行為は、「公権力の行使」には該当しない。
2 ~~行為は、「公権力の行使」には該当しない。以下同

この問題は、判例を覚えていないと答えられないと思います。
裏を返せば、YESorNOの単純暗記で対応できるラッキー問題です。

肝心の勉強法ですが、国賠法は過去問だけでOKです。
私はテキストもあまり見返しませんでした。
というのも、条文は第六条までしかないので六法を見たほうが早いし、判例は量が多くてテキストには全て掲載されていなかったからです。
ただし、覚える判例はお手元の過去問に載っているものだけで十分です。
未出の判例まで追いかけるとキリがないし、出題される可能性も低いです。

過去問知識のみでOKな科目だからこそ、満点を狙いたいです。
問題自体の難易度も低いので、一問も落とさない心構えでいてください。

地方自治法

続いて、地方自治法です。
一般的に、行政法は手続法・審査法・訴訟法がメインになるため、地方自治法に時間をかけて勉強することはおすすめされていません。
にもかかわらず、条文の数が多く範囲が非常に広いので対策に手を焼いている方が多いのではないかと思います。

地方自治法は毎年3問出題される傾向にありますが、合格するためには最低でも2問は取りたいところです。
というのも、苦手な人が多いことから正答率も低いと思われがちですが、合格者の正答率は行政法の中でもトップレベルで高いからです。
(辰巳の無料講座で聞きました。資料はなくしてしまいました。。。)

つまり、合格レベルの知識を持った方からすると、問題自体の難易度は低いということです。
いわゆるAランク問題ですが、これを取りこぼしてしまうと合格は遠のいてしまいます。

頻出テーマを重点的に!

範囲が広い地方自治法ですが、重要な論点は決まっています。
今回は最頻出のテーマをご紹介します。

  • 住民監査請求・住民訴訟
    地方自治法最頻出のテーマです。
    平成21年度~平成30年度の試験で計7回出題された実績があります。
    しかし、平成30年度と令和元年度と2年連続で出題がありません。
    そのため、令和2年度の試験では高確率で出題されると私は睨んでいます。

    対策としては、このテーマに事務監査請求を加えた比較表を作り、テキストに張り付けて何度も見返すようにしてください。
    (表が無い方は下記の表をコピーして使ってください。)

     事務監査請求住民監査請求住民訴訟
    請求権者有権者の50分の1以上の連署住民(単独OK)住民(住民監査請求をした者)
    対象事務一般
    (財務会計上の行為に限らない)
    違法・不当な財務会計上の行為違法な財務会計上の行為
    相手方監査委員監査委員裁判所
    請求期間なし対象となる行為のあった日から1年以内(正当理由があればこの限りでない)監査の結果・勧告から30日以内
    措置にかかる通知から30日以内

地方自治法に時間を掛けられないので、深い理解は不要です。
「なんでこうなる?」というのは気にせずにとにかく丸暗記してください。

ちなみに、令和元年度の地方自治法は「地方公共団体の議会」、「公の施設」、「監査委員」というマイナー三本立てでした。
私も予想外の出題に少し驚きましたが、問題自体の難易度は低かったので何とか2問取ることができました。
実際の問題と正解の肢を以下に紹介しておきます。

問24 地方自治法が定める監査委員に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 普通地方公共団体の常勤の職員は、監査委員を兼務することができない。

監査はかなりマイナーな論点ではありますが、正解となった肢は基本中の基本事項でテキストには必ず載っているかと思うので一通り学習していれば取れる内容だと思います。

ショシ太郎流勉強法

私も地方自治法には苦手意識を持っており、かといって時間を割くわけにもいかないので過去問演習に加え、直前期に以下の対策をしていました。

・通勤中に講義動画を倍速にして何度も視聴する
・テキストの重要テーマを絞り込み、その部分を空き時間に繰り返し読む

これらの対策は直前期から始めたので十分間に合います。(過去問は解いている前提)
繰り返しになりますが、地方自治法にはあまり時間を割けられないので、日ごろからコツコツ勉強するというよりは、直前期に一気に知識を詰め込むほうが効率的だと私は感じています。
その際、1から10まで全て詰め込もうとするのではなく、自分の苦手分野や、頻出テーマ等、重要度にメリハリをつけて覚えるようにしてください。

最後に

以上が行政法の勉強方法です。
国家行政組織法や行政代執行法等、一部の超マイナー法については記載しておりませんがこちらは過去問だけで十分かと思います。

最も配点の高い行政法でこけてしまうと、他の科目で取り返すのが難しくなります。
試験対策においては、行政法を最優先したスケジュールを組むようにしましょう。

ショシ太郎